麒麟山酒造(株)

地域 下越
代表銘柄 麒麟山
住所
新潟県東蒲原郡阿賀町津川46  Gooleマップを見る
URL
http://www.kirinzan.co.jp

麒麟山酒造は創業から170余年、新潟県の津川に位置する酒蔵です。
毎日飲めるようにと、この蔵では飲み飽きしない淡麗辛口の酒を追求しており、新潟清酒を代表する味になっています。

津川の環境

麒麟山の位置する津川の町は、福島県との境にあります。
阿賀野川と常浪川(とこなみがわ)の合流点にあり、現在は新潟県ですが、かつては福島県にあたる会津藩の領地でした。
会津藩が敵を迎え撃つ重要な戦略地であり、曲がりくねった街道は防衛の役目を果たした城下町のようなつくりになっています。
そのため雁木の街並みが続き、趣のある風景が人気の町です。
雁木(がんぎ)とは、新潟県の商店街などで見られるアーケードのような、雪よけの屋根のことです。
雪深いこの土地では、かつて1階部分が雪に埋まることは珍しくありませんでした。
そこで木のアーケードを作り、積雪時においても生活路を確保したのが雁木です。

多くは山岳地帯に覆われ、四方が山に囲まれています。
特に霊峰と呼ばれる麒麟山が悠然と構えています。
磐越道路をひた走るとこの山が、雄大にそして少し恐ろしく見えてくるのです。
霧などが出ていると、本当に妖怪が出てきそうな雰囲気です。
山の名前は、中国の想像上の動物「麒麟」の姿に似ていることに由来すると言われ、納得ができます。

この麒麟山では昔、狐火と呼ばれる光が多く見られたことから、山と狐火にまつわる数多くの昔話が存在します。
狐火は、日本全域に伝わる妖怪のような現象です。
火の気のないところに、提灯や松明のような怪しい火が一列になって現れ、ついたり消えたり、また別の場所に現れたりすると言います。
いまだ正体がわからなく、人を化かすキツネの仕業とされ狐火と呼ばれています。

なぜかこの狐火が多い年は米が豊作となり、少ない年は不作となったようです。
それゆえ、昔の人たちは、この狐の嫁入りを農業と絡めて神聖的なものと捉えていたかもしれません。
狐火にまつわる伝説は全国にありますが、津川ではこの狐火が日本一発見されるんだそうです。
ですので、この伝承を「狐の嫁入り行列」として観光のイベントにしており、毎年多数の観覧客が来るとのこと。
なんと警察官、警備員、駅員、機動隊員までもがこのキツネのメイクを施しているそうで、その幻想的な祭は、地域活性化大賞や地域文化賞など受賞するほど文化的に認められています。

この麒麟山を初めとする雄大な山々の脇には、日本でも有数の大河である阿賀野川が流れています。
かつては、この水路を利用し水運業者が舟運を行っており、水陸の交通の拠点として栄えました。
今でもこの渓谷美を堪能できるよう、阿賀野川ライン遊覧船という観光船に乗船することができます。
奥阿賀の渓谷は日本百景にも選ばれており、新緑の春、深緑の夏、紅葉の秋、雪見舟の冬と季節ごとに変わる情緒ある風景を楽しめます。

水資源へのこだわり

麒麟山酒造の創業は江戸時代の末期1843年と伝統・歴史のある酒蔵です。
酒の名前は、この土地の代表的な存在である麒麟山から命名されました。
奥阿賀の豊かな自然で醸された酒を生み出し、新潟の淡麗辛口を代表する有名な酒蔵です。

いい酒を造るためにはまず良質な仕込み水の確保を行わなければいけません。
麒麟山は新潟と福島の間の越後山脈を水源とする、常浪川の伏流水で仕込んでいます。
この水を生み出す阿賀町は9割以上が森林で、地上にはブナ林など広葉樹が積り自然のフィルターとなっています。
山に積もった雪は、この常浪川流域の広大な森林と腐葉土によってろ過されることで、淡麗辛口に欠かせない超軟水の仕込み水になると言います。

ですから麒麟山酒造では、森林の機能を維持するため、「森作り事業」と呼ぶ植林活動を行いながら、きれいな水の確保に力を注いでいます。
雑草刈りなどや、木々の管理を年に一回社員総出で手入れを手伝うのだそうです。

米へのこだわり

安全性をしっかりと担保したいという思いから、清酒麒麟山の原料米は、全量をどこで、だれが、どのように栽培したのか顔が見える地元・阿賀町の酒米を使用しています。
新潟県では、コシヒカリなど食米が育ちやすいため、通常農家は酒米を作りたがりません。
特にこの地区は気候が魚沼地方に似ており、食米がよく育ちます。
対して、代表的な酒米である五百万石は、背が高く倒れやすいため、生育の手間がかかってしまうため、農家にとっては割が合いません。
そこで麒麟山酒造は1995年に地元の農家に声をかけ、酒米の栽培を促進するために「奥阿賀酒米研究会」を結成しました。
当初は15人の会員でスタートし、難航もしたようで目標の10分の1しか収穫できなかったこともあったようです。
その後新潟県や阿賀町からも協力を受け、研修会を通して栽培の技術を高めながら数量の確保に取り組みを行いました。
一等米には奨励金を出して生産者の意識と技術を高めるなどの工夫もしました。
そのかいが実って、会は成長し、現在は30人を超える大きな組織となっています。
早くからの取り組みにより酒蔵と農家のWin-Winな関係が構築されたのでしょう。

その研究会に加えて、2011年には麒麟山酒造内に酒米栽培専門の部署である「アグリ事業部」を設置しました。
これにより麒麟山酒造は、全銘柄を100%奥阿賀産のお米で仕込むことができるようになりました。
栽培品種は酒造好適米の「五百万石」「たかね錦」「越淡麗」「こしいぶき」と多品種に渡ります。
今後、農家の高齢化や後継者問題を解決するような、新しい農業に繋がるかもしれません。

技術の研鑽

麒麟山酒造では蔵人の技術力の成長を後押しします。
繊細な味を追い求める際に、蔵人の技術が一番の鍵になるといいます。
そこでこの蔵では20年ほど前から季節労働制から通年雇用の社員制に採用を変更しました。
新人は「新潟清酒学校」で研修する機会を与えられ、その後も「新潟清酒研究会」や「新潟酒造技術研究会」などの組織に所属して技術の研鑽を重ねているのだそうです。

地元で愛し愛される酒になる

麒麟山は、製造量の約7割が普通酒で占められています。
地元の人たちに喜んでもらえる酒造りこそが使命と考えています。
そのために毎日飲んでも飽きない味として、地域の食文化に合い、さらにリーズナブルであることを念頭にしています。

彼らは地元の人が毎晩気軽に楽しめる晩酌酒を、今後も主体に製造を行っていきます。
2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、多くの消費者が外出自粛に努めていた際に、「おうちで麒麟山」という企画を地域の住民あてに行いました。
各家庭に1本ずつ「清酒 麒麟山(1.8L)」を無料で配布したのです。

コロナ不安が広がり、例年であれば家族や親戚の一同で行う田植えや、「狐の嫁入り行列」などの観光需要が無くなってしまいました。
そこで家庭内で過ごす時間にいっときの癒しを届けるために、そのような活動を行いました。

「日本酒」とはお米を原料とし、法的に適った製造方法を経てできたものを指します。
一方、「地酒」とはその土地で作られた米や水を使い、その土地の人によって醸され、その土地の人たちから飲んでいただけるお酒ではないでしょうか。
地酒王国と言われる新潟でも、灘伏見や韓国産、海外製のお酒はたくさん消費されており、それ自体は何ら問題はありません。
しかし日本酒と地酒は分けて考えるべきであると言う論者こそ麒麟山酒造です。
この蔵では、地元阿賀町の消費者こそ、麒麟山の存在理由になっていると捉え、お酒の無料配布を行ったのだと筆者は考えます。
今後も、土地に根差したいいお酒造りに励んでいただきたいと思います。

主な受賞歴

2016年 全国新酒鑑評会 金賞
2017年 全国新酒鑑評会 金賞
越後流酒造技術選手権大会 1位
2018年 全国新酒鑑評会 金賞
IWCインターナショナルワインチャレンジ 普通酒部門【GOLD】
2019年 全国新酒鑑評会 金賞
IWCインターナショナルワインチャレンジ 普通酒部門【BRONZE】
他多数受賞歴あり

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