(株)越後鶴亀

地域 下越
代表銘柄 越後鶴亀
住所
新潟県新潟市西蒲区竹野町2580  Gooleマップを見る
URL
http://www.echigotsurukame.com

全国第1号地ビールを生み出したアートな酒蔵

周囲の自然と環境

越後鶴亀は、新潟県新潟市西蒲区に在ります。
日本酒の酒蔵が5場、ワイン醸造元や地ビール工場、リキュール工場までもがある一大醸造地であり、まさにこの地域は新潟のブルゴーニュと言っていいでしょう。

西蒲区は有数の穀倉地帯である蒲原平野の中央に位置します。
信濃川の支流である西川に沿って農業水路が造られ、田園風景が広がっています。
西側は日本海にのぞむ美しい海岸線が延びており、日本海夕日ラインというドライブに適した道路が南北に走っています。

海岸には角田浜という浜辺が広がり、海水浴もできるのですが、県外からのお客様は少ないので地元の穴場スポットだとか。

越後鶴亀から角田山を望む

越後鶴亀から角田山を望む

この海で獲れるタコなど海産物が豊富で、美味しい船盛料理を出す飲食店もあるんですよ。

そして海と平野との間には、日本海からの厳しい風から守るように角田山(かくだやま)がそびえています。
山には野草植物が四季折々の表情を見せ、蛍が舞うなど美しい自然が広がっています。
その角田山の麓に、越後鶴亀の蔵は建っています。

会社の歴史

越後鶴亀は、1850年(明治23年)創業の酒蔵です。
長きに渡り皇室献上蔵として名高い酒を醸してきました。
当時の皇太子ご夫妻の祝賀酒や、皇室のご結婚式に献上された歴史を持つ、由緒ある蔵です。

創業当時から2010年まで、この蔵は上原酒造として経営されてきました。
手作りによる伝統的な製法で酒造りを続ける老舗の造り酒屋で、代表銘柄の「越後鶴亀」は全国的な知名度を誇る名酒として高い評価を得ていました。

初代の上原武七氏は十代の頃から近隣の酒造場で蔵人として働き、条件に合った地を探し現在の地に酒造場を設立し、わかりやすく、おめでたい商標をと「鶴亀」という名を冠したといいます。

4代目の誠氏は濾過機の考案、開発をし、また麹室の改良に取り組みました。
彼と長年に渡りタッグを組んだ野積出身の高浜杜氏の存在も大きかったようです。
彼は酒造杜氏組合連合会での連続10回受賞・特選名誉賞を受賞するなど、現在に至る評価を築きました。

歴代続く会社の歴史において、天才芸術家であった5代目の上原誠一郎氏がいました。
彼は美術家であり、舞台役者でもある、酒蔵きっての異彩な人物でした。
小学校の頃には早くも、ゴッホの模写を行う他、絵画技法であるフロッタージュやデカルコマニーなどの絵画技法に熱中したと言います。

後に東京藝術大学美術学部芸術学科に進学し、唐十郎氏の劇団に加わり、俳優の根津甚八氏や人形作家の四谷シモン氏と交友関係を築きました。
さらにイタリアに渡り仮面喜劇を学び、映画監督のフェデリコ・フェリーニ氏と知り合いました。
ヨーロッパの各国を歴訪し、劇団作家や劇団俳優として渡り歩いたようです。

そして父親の病気をきかっけに日本に帰国し、1990年に家業の酒造業を継ぎ、五代目蔵元となりました。
彼はヨーロッパを渡り歩き、飲んできた各国の地ビールを日本で造りたいという強い念がありました。
そのころ、日本にはピルスナータイプと呼ばれるビールしかありませんでした。
しかしヨーロッパでは、エール、ヴァイツェン、スタウトなど様々なタイプのビールがあり、日本でもぜひそのようなビールを造りたいと考えていたようです。
丁度、日本でも地ビールが認められる法改正が行われ1994年には、全国初となる地ビール醸造免許を取得し、エチゴビール醸造所を開設し全国的な名声を誇りました。

初代エチゴビールのギフト箱

ちなみにエチゴビールの缶製品が発売時には、デザインは交友のあった横尾忠則氏が手掛けています。
奇抜なデザインは全国のビールファンの度肝を抜きました。

その後、上原酒造においても、斬新な商品を生み出し続けます。
色彩心理学を生かしたオリエンタルなラベルデザインを編み出します。
ラベルデザインは多岐に渡り、もはやアートでもありました。
2006年には江戸・宝暦年間に醸造された“日本最古の酒”を再現した清酒「鶴亀諸白(つるかめもろはく)」を発売。
ドイツの貴腐ワインに似た味で、アミノ酸などの健康成分が通常の純米酒に比べ約7~10倍含まれるという酒でした。
製造には上原氏が古文書などを調べた末に編み出した「古式きもと造り」で製造を行いました。
酒米の精米歩合は驚異の90%と少なくし、仕込み水は通常の約半分、麹を約2倍の量を使うなど、実に業界の異端児たる上原氏らしい酒でした。

しかし2010年に上原酒造は負債額8億9700万円を抱え、新潟地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。
ブルボンが経営破綻直前の上原酒造からエチゴビール株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。
また上原酒造も経営再建をし、越後鶴亀と社名を変更しました。

新体制としての船出

2010年、会社の再建前後時には、県内で最年少の青年、藤田氏が杜氏として酒造りを支えていました。
彼は同世代の仲間たちが、ビールやリキュールばかりで日本酒を飲もうとしなかった事に悩んだそうです。
そして伝統を受け受け継ぐだけではなく、時代に合った日本酒を作ろうとしました。
上原氏から続く、芸術的でモノづくりの才能にあふれていた人物でもありました。
これは上原酒造時代から見てきた、「鶴亀諸白(つるかめもろはく)」などの珍しい技法を体験してきた彼だからこそ成し遂げることができたのでしょう。

また新体制である越後鶴亀では毎年1本、「チャレンジ仕込み」という制度を作りました。
毎年探究心を追求すべく、新たな酒造りを奨励していたのです。
そんな造り手と新たな会社の体制は非常にマッチしたようです。

最古の酒を復活させた諸白

藤田氏は「ワイン酵母」を使った日本酒造りに取り組み始めました。
しかしワイン酵母を使って日本酒を造っているのは、全国でもほんのわずかでしたから、事例が非常に少なかったのです。
無数にある酵母酵母の中から、自社の酒米に合う酵母を探す事が、非常に難しかったと聞きます。
しかし苦労の甲斐あって、大ヒット商品になります。
ワイングラスに合う日本酒「大吟醸 越後鶴亀ワイン酵母」の誕生です。

その大吟醸は2009年 モンドセレクション最高金賞
2010年 モンドセレクション連続金賞
2011年 ワイングラスでおいしい日本酒アワード最高金賞を次々に受賞したのです。

現在の体制と蔵の技術

現在は、その藤田氏を支え、盟友でもあった横田氏が杜氏を努めています。
元々彼はエチゴビールでビールを製造していましたが、その後越後鶴亀に移籍しました。
彼は難関である国家資格「1級酒造技能士」をなんと首席で卒業し、杜氏となった経歴を持ちます。
確実に美味しいものを消費者に飲んでもらうため、フレッシュローテーションに心がけていると聞きます。
一般的な他の会社酒造りでは、1年~2年寝かした古酒と、新酒とを混ぜて品質を安定させます。
しかし越後鶴亀では出荷する生酛を、絞った2日後には瓶詰めします。
常に新鮮な品質の酒を消費者に届けようと心がけました。
そのためには毎年がチャレンジであり、失敗ができません。
藤田氏、横田氏は毎年大きなプレッシャーと戦っていたことでしょう。

しかし残念ながらこの蔵では、伝統的に高度な設備がありません。
その分「こうじ箱」を使った製麹など、手間暇をかけた、伝統的な手造りが主体となっています。
コメの上品な旨みを引き出すために、低温発酵でコメを溶かしすぎない仕込みを行っているといいます。
その結果、適度な酸味がありながら米の特性を引き出した味わいになります。
特徴的な酸と豊かな米の旨味が他にない味わいが、この酒蔵の特徴です。

越後鶴亀の人気

新潟のお土産ミュージアムとして県内外の客に人気のぽんしゅ館があります。
「越後鶴亀」はそこで利き酒人気銘柄ランキング1位を連続58ヶ月も記録した栄誉ある実績があります。

食中酒として合うように、この蔵が得意とする酸味が特徴的な「ワイン酵母 越後鶴亀」。
軽快でなめらかな口当たりながら、酸度が1.6と高めなので、後味のキレが良いことが人気の秘訣でしょう。
特に肉料理との相性が良く、現代の食事情をしっかり分析していることが伺えます。

さらにこの蔵を代表的する酒として、山廃仕込みの酒があります。
これも上原酒造時代に培ってきた経験があったからできたことでしょう。
自然界に存在する天然の乳酸菌の力を借りた酒造りです。
通常の酒造りに比べ、手間も時間も要しますが、独特の風味や酸味の効いた酒となり、これが一層、越後鶴亀らしい味わいとなっています。

越後鶴亀の芸術的センス

2014年には、鶴と亀の象形文字をデザインした新しいロゴマークが、「日本タイポグラフィ年鑑2014」に入選しました。
2015年には「日本パッケージデザイン大賞 2015」のアルコール飲料部門で金賞を受賞しました。
さらに2017年、利き酒イベント「SAKE COMPETITION」ラベルデザイン部門にて1位に輝きました。なんと審査員満場一致での1位採決だったといいます。
このように、越後鶴亀には象形文字から上原酒造時代に培ってきたイタリア芸術のセンスまで内包した、アートな才能にあふれていると言えるでしょう。現在ではSNSを通じて、イベントや新製品などの情報を提供しています。
ぽん酒館などで気になった方は、ぜひチェックしてみてください。

受賞歴

・ワイングラスでおいしい日本酒アワード
2013年・2014年金賞受賞。
・地酒大show2013春フランス料理と楽しみたい地酒大show
ブロンズ賞受賞。
・地酒大show2013秋中国料理と楽しみたい地酒大show
ブロンズ賞受賞。
・モンドセレクション2009年・2010年金賞受賞。
他多数受賞歴あり。

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外部リンク

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