田原酒造(株)

地域 上越
代表銘柄 雪鶴
住所
新潟県糸魚川市押上1-1-25  Gooleマップを見る
URL
http://yukituru.com/

新潟県の南西部である糸魚川市押上の海岸にほど近い場所で、代表銘柄は「雪鶴」。
翡翠(ヒスイ)の産地として知られる糸魚川の地酒で、コクのある地酒を醸しています。

環境と歴史

糸魚川の中心街は古今に渡り、交通の要所にありました。
加賀藩主の前田利常が、加賀と江戸との交通にこの土地を訪れていたと言います。
利常は、大坂冬の陣では徳川方として参戦し、多くの武勲を建てています。
そのため前田軍の規模は徳川方の中でも最大の動員兵力と言われた兵を与えられました。
それほどの武将である利常がこの地を訪れた際は、住民にとっては大事であったでしょう。

糸魚川にはフォッサマグナ(糸魚川静岡構造線)が通り、日本の東西の境界とも呼ばれる線上に位置する珍しい土地柄です。
そこでは世界的にも珍しいヒスイが産出することで有名となっています。
ヒスイは深緑の半透明な宝石で、5億年前の石といわれ、古代は金よりも重宝されていたそうです。

古代伝説の時代、現在の福井県から新潟県は、高志国(こしのくに)と呼ばれていた、かなり大きな国であったようです。
歴史を経て、「高志」が「越」となり、越前、越中、越後と分離したと言われています。
現在でもその名残から、「高志」が「古志」と変化して、土地や名称が多く使われています。
新潟県「山古志」などの地名や富山県の「古志神社」がそれを示しています。

その高志国を治めていた奴奈川(ぬながわ)姫が糸魚川のヒスイの勾玉(まがたま)をつけていたとされています。
奴奈川姫は「古事記(こじき)」や「出雲風土記(いずもふどき)」などの文献に記されている伝説の姫です。
伝説とされてきた奴奈川姫ですが、姫を祀ったとされる石祠や人工的な塚が見つかっており、実像が徐々に解明されています。

高志国がかなり広い地域であることから、奴奈川姫はかなりの政治力のあった人物だっとされます。
その理由として、ヒスイを支配していたからである考えられています。

ヒスイは当時国内、国外に大きな影響力を持っていました。
価値が高く、腕輪や器、置物などに加工され、また不老不死や生命の再生をもたらす力を持つと信じられていたようです。
祭祀や呪術に用いられたり、装身具や勾玉などに加工されていたと考えられています。

卑弥呼は巫女として、邪馬台国を都に、倭の国を治めていたと考えられています。
焼いた骨の割れ目を見て吉凶を見て占いを行っており、それは女性にしかできないものでした。
奴奈川姫もおそらく卑弥呼のような巫女であり、祀りごとにヒスイを使用していたのではないでしょうか。

田原酒造の近くには、その名も「ヒスイ海岸」と呼ばれる海水浴場があります。
そこでは、砂浜でなく石ころが広がっている場所があります。
その石の多くは、糸魚川の山で生まれ、長い年月をかけて川を下り、海に流されてきたものです。
さまざまな種類の石ころの中には、ヒスイが混ざっていることもあるようです。
お宝級の石が見つかれば、博物館「フォッサマグナミュージアム」で本格的な石の鑑定を受けるとのこと。

田中哲郎氏との出会い

田原酒造の創業は1897年。
酒名は「縁起良い名」「雪に舞う鶴のように麗しく気高い酒質」という意味を込めて名付けられました。
命名したのは新潟財務局鑑定官の田中哲郎氏。
戦前戦後と新潟県の日本酒業界を指導し、「新潟銘酒の父」と呼ばれた人物です。
「研醸会」という酒造りの研究会を設立して、新潟県内の多数の蔵の酒造りに関わりました。
酒造りには非常に厳しく、多少の誤差も認めなかったことから多くの杜氏たちが震え上がったと言いいます。
新潟らしく雪国の綺麗なお酒ということを前提に、口当たり柔らかく、酔い覚めが早く体に優しい酒を目指したと言います。
田中氏はどんなに夜遅くまで大酒を飲んでも、翌朝早朝には杜氏よりも早く起きてお酒のチェックをしていたと伝えられています。
「口当たり柔らかで優しく、旨み豊かで酔い覚め爽快」という雪鶴の原型はこの時代に形作られました。

頑なな水へのこだわり

フォッサマグナにより、糸魚川は特殊な地層の上に成り立っています。
それゆえ糸魚川の水は、ミネラル分を含む中硬水となります。
敷地内には井戸があり、かつてはその水を使っていたました。
しかし雪鶴が目指す、口当たり柔らかく優しい酒には適さないと言います。
そこで田原酒造では、仕込み水として、頸城駒ヶ岳山麓の天然湧水を使用しています。
湧水が湧き出す里西海地区には、この蔵が目指すきめ細かく柔らかな軟水が湧くのだそうです。
そこでこの蔵は、水利権を持つ農業組合と契約し、この天然湧水を購入して酒造りに使用しています。
2tのタンクローリー車で片道30分かけて汲みに行くのだそう。
蔵内に1万リットルのタンクを設置し、仕込み水を確保しています。
水道水で酒造りをする蔵が多い中、あえてコストをかけて水を汲み、酒造りに活用しているほどまで水にこだわりを持っています。

さらにハイドロトリーターと呼ばれる水処理の設備を導入しています。
この技術は1988年に田原酒造が特許技術を取得したものです。
NASAで使っていたと言われる水処理の技術を応用したものだそうです。
この設備を使用することで、水とアルコールを強力に水和させることができ、柔らかく口当たりが優しいお酒になるとのこと。
またアルコールの吸収と分解をスムーズにするので、悪酔いの原因と言われる活性酸素とアセトアルデヒドの発生を抑制することができるそうです。

出荷するお酒は全て、このハイドロトリーターという装置を通しているとのこと。
特に新酒や無濾過生原酒はこの製法によって効果がてき面になるらしく、まろかやかで旨味が増すそうです。
これにより、かつて田中哲郎氏が目指した「口当たり柔らかで優しく、旨み豊かで酔い覚め爽快」な酒造りを完成することができました。

 

全量を槽搾りで上槽

この蔵では、伝統的な和釜こしきと小蓋による手造りによる麹造りという昔ながらの製法を利用して酒造りを行っています。
先に挙げた水の処理設備以外は、特に先進的な機械が導入されているわけではありません。
またほとんどの設備は昭和の中頃までに導入したもので、古き良き伝統を残した酒造りを行っています。

そんな蔵だからこそ特徴的なのが、上槽にあります。
発酵したお酒は醪と呼ばれ、酒と酒かすになる部分が入り混じった状態です。
それを上槽と呼ばれる作業で、酒と酒かすに分離をします。
この作業は、非常に手間がかかるため、ほとんどの蔵では通称ヤブタと呼ばれる自動圧搾の機械を使用しています。
数時間で酒を搾ることができ、重労働からも解放されます。
そして綺麗で雑味の少ないお酒にするために、高級酒に限って槽搾りや袋搾りを行います。
このように他の蔵では、ヤブタと槽搾りを使い分け、あるいはヤブタのみとしています。

しかし田原酒造では、全量を佐瀬式と呼ばれる槽搾りでこの作業を行います。
布でできた酒袋に醪を入れた後、槽と呼ばれる大きな箱に敷き詰めます。
積まれた酒袋の自重で酒が布から染み出してきます。
数日かけて、この搾りを行うほど、非常に手間がかかる作業なのです。
しかしそこまでして田原酒造は、この酒造りにこだわっています。

そのような酒造りの結果、出荷先は県内よりも首都圏への割合が大きくなったそうです。
この蔵では、なんと特定名称酒の製造割合が80%以上とのこと。
淡麗辛口の酒よりも、雪鶴のような深い味わいが首都圏では受け入れられているかもしれません。

田原酒造は、純米酒と純米吟醸でさらに瓶燗火入れシリーズというものを誕生させました。
お酒の美味しさと香りを逃がさないように、瓶燗火入れという手法で瓶詰めをしています。
お酒は酸素と結合することで劣化をしてしまいます。
そこで酸素と触れる機会を無くすために、いち早く槽搾りで上槽した生酒を瓶詰してしまうのです。
しかしこのままでは、酒に残った酵母が醗酵してしまうので、瓶に熱湯を掛けて外側から火入れを行います。
この方法により、酸素に触れることなく、さらに生酒ならではの風味や旨味を酒の中に閉じ込めることができます。
こうして火入れ処理を行った酒を、その後約半年の熟成をさせより美味しく仕上げています。

昔ながらの伝統的な作りで、淡麗辛口とは一線を隔す田原酒造の造った酒をぜひお楽しみください。
そのセンスに思わずクスッと笑ってしまうラベルもあります。

田原酒造(株)新着情報

2021.09.27 田原酒造(株)
YOUTUBEにて日本酒学講師が「雪鶴」徹底解説

日本酒学講師・酒匠、SAKE DIPLOMA三冠達成した吉川亜樹さんが、田原酒造の雪鶴解説した動画です。
日本酒女子の酒講座として、田原酒造を紹介。
電話で注文をしてくだいというアナログな対応が珍しいと言います。

越淡麗の純米大吟醸はやわらかくて滑らかなタイプと高評価。
福城しぼりの特徴がよく出ていると解説しています。

2021.05.17 田原酒造(株)
新商品 烏帽子の里の「雪室貯蔵酒」 田原酒造

新潟県糸魚川市の田原酒造から雪中貯蔵酒が新発売されました。

田原酒造と言えば、特許技術を取得したハイドロトリーターシステムです。
NASAで使っていたと言われる水処理の技術を応用したもの。
この設備により、水とアルコールを強力に水和させることができ、柔らかく口当たりが優しいお酒になるとのだとか。
さらにアルコールの吸収と分解をスムーズにするので、悪酔いの原因と言われる活性酸素とアセトアルデヒドの発生を抑制することができるそうです。

そんな夢のような設備を導入している、この酒はさらに雪中貯蔵。
雪室と呼ばれる雪の中にタンクを埋めて清酒を熟成させる貯蔵方法です。
新潟県のような大雪を利用することで、電気を使わないエコな製法として着目されています。
さらに外気温に左右されない0°Cの安定した環境は お酒にとって理想的な環境。
その結果、味わいは新鮮さを残しながら、ほどよく角が取れ、まろやかな味わいに仕上がります。

2021.03.21 田原酒造(株)
クラウドファンディング見事達成!田原酒造

1/22から開始した糸魚川信用組合と田原酒造のクラウドファンディングが見事目標達成をしました。

「糸魚川の地に生まれる新駅を、特別な酒で祝い元気づけたい!」

と題されたテーマは、「えちご押上ひすい海岸」の開業がありました。

糸魚川は交流電源と直流電源の切り替えポイントで、新駅を造ることは長年難しいとされていました。
しかしこの度、地元の念願がかない、見事に新駅が開設されました。

それを祈念して田原酒造では、地元の信用金庫と共同でクラウドファンでイングを開設。
「糸魚川の地に生まれる新駅を、特別な酒で祝い元気づけたい!」
特別な純米大吟醸酒で新駅を盛り上げる計画でした。

見事目標が達成しました。

こちらから参照した記事です

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