大洋酒造(株)

地域 下越
代表銘柄 大洋盛
住所
新潟県村上市飯野1-4-31  Gooleマップを見る
URL
http://www.taiyo-sake.co.jp

日本で初めて「大吟醸」を市販した、小和田家ゆかりの地の酒蔵

歴史と伝統

井原⻄鶴の「好⾊⼀代⼥」(1686年作)に「村上のお⼤尽が、京都で遊郭遊びをしたときに『京都の酒はまずいから』と、村上の酒を持ち込んで飲んだ」という記述があります。
その時代には現在大洋酒造が位置する村上には、豊かな三面川の伏流水が酒の原料となり、戦前まで十四の造り酒屋があり、書物に描かれるほど美味い酒造りをするほど酒造りが大変盛んな土地でした。

十四の造り酒屋の中には1635年(寛永12年)に創業というところもありました。参勤交代が始まった時代ですから、かなり古くからの歴史ですね。各造り酒屋には脈々としてつづけてきた酒造りの技術が受け継がれていったようです。

かつてから現在までこの町で開催される伝統の祭り「村上⼤祭」は、豪華で艶やかなおしゃぎり(屋台)が町を練り歩き、群衆が総出で祭りを盛り上げた城下町であり、村上ならではの勇壮な⽂化が根ざしました。

しかし昭和20年に米不足などの影響により、国の企業整備令が施行されました。これにより村上管内の14の蔵元が合併して、現在の大洋酒造が誕生しました。
詳しくは1945年下越銘醸株式会社、酒名「越の魂」として発足し、5年後に大洋酒造株式会社「大洋盛」に改名しました。

こうして大洋酒造は伝統と合併したことにより、技術力がさらに向上した結果、全国でも技術的に秀でた酒造りが可能となりました。
遂にはそれまであまり飲まれることがなかった「大吟醸」を全国に先駆け、一般発売した歴史があります。
1972年全国で初めて大吟醸の市販となる「大吟醸大洋盛第一号」を発売したのです。
それまで大吟醸は酒蔵の酒の出来栄えを判断する基準の酒でしかありませんでした。杜氏など一部の蔵人や酒税局の職員などしか飲むことができなかった特別なお酒だったのです。
日本吟醸酒協会が設立され、吟醸酒が一般に出回るのは1980年代になってからだというので、大洋酒造は10年前から、時代を先取りしていたことになります。

発売当初は買う人が少ないだろうと、当時の社長が木箱の表書きと、ラベルを1枚1枚手書きしていました。
徐々に売れるようになり印刷をするようになりましたが、シリアル番号だけは、歴史が代々引き継がれて、現在でも社長が手書きをしているようです。
この大吟醸の購入者からは、感想とともにラベル番号を送り返してもらっていたようです。その綴りが「大吟醸大洋盛愛用記録」として残されており、愛飲者名簿は通し番号で保存され社宝として扱われたようです。

2011年には会社敷地内に展示場と試飲コーナーを合わせた「和水蔵」をオープンしました。
このように大洋酒造は酒蔵単体でなく、城下町・村上の観光発展と地域発信にも一役買い、地元にも観光客からも愛される蔵を目指しています。

地域の風土

村上市は日本海に面した新潟県最北の都市です。かつては村上藩の城下町で、今も市街には商人町、武家町の面影が残っています。
人気の観光地である、瀬波温泉、笹川流れ、町屋の風景などは有名です。
明治30年代より湧き出したという瀬浪温泉は、 海岸沿いに⽴地し、この絶景が全国的に有名な温泉地として知られています。

春には朝日連峰の雪解け水が三面川の清流となり、平野の水田を潤します。
春の風物詩として、約70軒の町屋に飾られたひな人形を一斉公開する「町屋の人形さま巡り」は、江戸時代からの村上を偲ばせてくれます。
夏には村上城址の木々が深い緑に変わり、伝統の「村上大祭」が始まる祭り一色の街並みとなります。
秋にはシベリアおろしの寒風に粉雪が舞いはじめ、三面川に鮭がのぼります。
市内を流れる三面川は古くは瀬波川と呼ばれ、秋になると鮭の遡上で知られています。
冬を越すために貴重なタンパク質である鮭に感謝し、丸ごと食べ尽くす独自の食文化や様々な加工技術も育まれてきました。
珍味として名高い「鮭の酒びたし」もそのひとつで、旅行客の皆様にはぜひ味わっていただきたい名物です。
そして酒造りが佳境を迎える冬を通じ、村上の風土がはぐくまれています。

原料のこだわり(米)

製造比率は特定名称酒で約60%、普通酒約40%とのこと。
普通酒の製造比率が多いことは、地元から愛されている証だと筆者は考えています。
多くの地元の方がこの酒を愛飲していることが伺えます。

しかしそのような現状に甘んじず、大吟醸に新たなチャレンジを続けていることに恐れ入ります。
新潟県が地酒王国の威信をかけて開発した「越淡麗」という酒米があります。
大洋酒造では試験栽培の段階から杜氏の田んぼを使い、プロジェクトに参画してきました。
2007年にはこの「越淡麗」で造った大吟醸が、関東信越国税局の鑑評会で史上初となる新潟県総代に選ばれた。「山田錦」に代わる品種として期待されました。

それまで県外の「山田錦」から「越淡麗」に切り替えることで、新潟県産米100%になりました。新潟の酒蔵である以上、県産米にこだわりを見せます。
酒造⽶には、全量を新潟県産、それも阿賀野川以北で栽培された地元の⽶を使⽤しています。

コシヒカリで知られる新潟は酒米でも日本一の生産地です。
そのなかでも村上の位置する北越後は、昼夜の気温差が大きいことが特徴です。
そのため、タンパク質の少ない米づくりに適していると言われています。そのため酒米づくりに協力的な農家が多いのだとか。
なかでも同地で栽培される「たかね錦」は、全国の酒蔵から重要視されているそうです。

そんな土地柄か、⼤洋酒造の前杜氏をはじめ、仕込みにかかわる蔵人の多くが実際に米作りをしている米農家です。
若手の米農家が大洋酒造の酒造りに加わることもあるとか。
冬の時期には農家から蔵人になるという昔ながらのスタイルが残されており、酒造りの古き良き文化が息づいています。
そのように全社員が酒米作りに力を入れており、田植え・稲刈りを通して酒造りだけでなく、米作りという面からも真剣に取り組んでいます。
現在ではここまで、造り手と米づくりが深く関わっている酒蔵は珍しいのではないでしょうか。

原料のこだわり(水)

町を流れて日本海にそそぐ「三面川」は、鮭とともにその清流で有名です。
この川の源は、多くの雪が降り、自然が豊かな磐梯朝日国立公園の朝日連峰に発しています。その山々の雪解け水が極上の仕込み水ととなっています。
その⽔は、全量を地下16メートルから汲み上げられています。
ちなみにこの水は毎年検査機関による厳しい検査を通過しています。

酒造りの技術

消費者の満足度を高めるために、後味の引けの良さをさらに高め、高品質を追求するために、製造の心臓部と呼ばれる「麹室」をリニューアルしました。
さらに麹を造る製麹装置を導入したり、あえて旧来型の搾り方式を可能とするステンレス製搾り機を導入するなど、酒造りの新しい装置を充実させてきました。
新技術の投入は、製造の現場では勇気のいる決断だったはずですが、大洋酒造はパイオニア精神や、チャレンジ精神が旺盛なようです。

新潟県には「にいがたの名工」という評価制度があります。
新潟県内に在住し、各種技能大会の入賞経験が豊富かつ、県内外で高い評価を得ている卓越した技能者を表彰する制度です。
大洋酒造では2013年に杜氏が、この「にいがたの名工」に認定される快挙を成し遂げました。

そんな杜氏を始めとした酒のつくり手たちが、大洋酒造には多く存在しています。
彼らは、代々受け継がれてきた伝統と、新たなチャレンジを重ねお客様の満足を高めるために日々頑張っています。
特に日本酒をベースとした各種リキュールなど新商品を次々と生み出しているのは、こうした背景によるのでしょう。
淡麗辛口を基本としながらも多様な消費者ニーズへの適応も着々と進めているようです。

受賞歴

1953年に第1回関東信越国税局酒類鑑評会で初入賞。
その後も、全国清酒品評会入賞、国税庁醸造試験所 全国酒類鑑評会で入賞(金賞受賞)、関東信越国税局酒類鑑評会においては三度の新潟県総代(第一位)を受賞しています。
地元で栽培する酒米・越淡麗を使用した「大洋盛」は2018年の酒類鑑評会で純米吟醸酒の部・最優秀賞を受賞。全国的にも高い評価を得ています。

2000年
全国新酒鑑評会で金賞受賞。
2001年
全国新酒鑑評会で2年連続金賞受賞。
2002年
全国新酒鑑評会で3年連続金賞受賞。
2006年
全国新酒鑑評会で金賞受賞。
2007年
関東信越国税局酒類鑑評会にてダブル受賞。
常温審査の部:新潟県総代(第一位),燗審査の部:入賞。
2008年
全国新酒鑑評会で金賞受賞。
関東信越国税局酒類鑑評会にて二年連続ダブル受賞。
2009年
関東信越国税局酒類鑑評会 燗酒の部 入賞。
2010年
関東信越国税局酒類鑑評会にてダブル受賞。
吟醸酒の部 新潟県総代(第一位)
純米酒の部 入賞
2011年
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」にて最高金賞受賞。
2012年
スローフードジャパン「燗酒コンテスト」にて最高金賞受賞。
2013年
スローフードジャパン「燗酒コンテスト」にて金賞受賞。
新潟県より田澤杜氏が“にいがたの名工”の認定を受ける。
2014年
関東信越国税局酒類鑑評会 純米酒の部 優秀賞。
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」にて金賞受賞。
2015年
スローフードジャパン「燗酒コンテスト」にて金賞受賞。
2017年(H29)
全国新酒鑑評会で金賞受賞。
2018年(H30)
全国新酒鑑評会で金賞受賞。
関東信越国税局酒類鑑評会にてダブル受賞。
吟醸酒の部 優秀賞
純米吟醸酒の部 最優秀賞
2019年
スローフードジャパン「燗酒コンテスト」にて金賞受賞。
関東信越国税局酒類鑑評会にてダブル受賞。
吟醸酒の部 優秀賞
純米吟醸酒の部 優秀賞

観光施設について

大洋酒造の位置する村上市は「鮭・酒・人情(なさけ)のまち村上」として、観光推進を行っています。
この蔵でも村上市と協力し、大きな役目を果たしています。
以前から観光客に蔵の中を見学できるように、展示や試飲販売を行っていました。
また市を代表する祭りである「町屋の人形さま巡り・町屋の屏風まつり」に参加してきました。

さらに2011年には「和水蔵(なごみぐら)」として観光施設を開場し、ここに酒文化にまつわる酒器や酒造りの道具などの品々を展示し、同時に試飲もできる場を創りました。
ここでしか飲めない蔵出し原酒など常時15種類以上をテイスティングすることもできるようです。もちろん、気に入った一本はその場で購入することも可能です。
また、消費者を招いてのイベントを年間通して行っており、酒を通じて人とのつながりを広げています。

地酒の魅力は観光資源のひとつであると捉え、地域経済の活性化に貢献したいと考えているようです。
かつてはこの蔵の社長が、隣接する村の村長になるなど、優秀な人材を輩出しています。
大洋酒造が地域にも重要な役割をになっていることが伺えます。

大洋酒造「和水蔵」(新型コロナウィルス対策のため閉館している時期があります。)
場所  新潟県村上市飯野1丁目4−31
海東北自動車道「村上瀬波温泉IC」から車で約5分

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